猫と暮らすお役立ち情報

獣医師が回答!猫のよくあるご相談/回答:山本宗伸先生(猫専門獣医師)Tokyo Cat Specialists 院長

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Q

毎日、猫が朝方に鳴く

8カ月のメス猫です。鳴いてばかりいて困っています。とくに、毎日朝方4時ごろ鳴くので、睡眠不足になってしまいます。何か飼い方に問題があるのでしょうか。盛り(発情)とは違う鳴き声だと思います。
(東京都北区 ななさん)

A 獣医師からの回答


猫特有の生活パターンに起因する場合は?

猫の鳴き声は、解決がとてもむずかしい問題です。鳴く理由は、いろいろありますが、一つには、「猫特有の、夜明けと夕暮れに活動する生活パターン」が関係していると考えられます。

ななさんの愛猫の食習慣や生活サイクルは、どのようなものでしょうか。もし、完全な室内飼育なのであれば、おそらく朝、食事をとった後、一日の大半をうたた寝して過ごしているのではないでしょうか。このような猫は、夕方の食事を終え、まわりが寝静まった頃、夜間の活動のエネルギーがわいてきて、走り回ったり、鳴き叫んだりしがちなようです。

この場合は、夜間のエネルギーを減らすために、日中にもっと運動させるとよいかもしれません。かくれんぼなど、からだを動かす遊びをさせたり、じゃれて動き回るタイプのおもちゃを与えたりしてみましょう。

夕方活発に遊んだり、夜遅く食べ物を与えたりして、猫の体内時計を修正させるような方法もあります。明け方、太陽の光に反応しているため遮光カーテンをしたり、外でガタガタ物音がすると起きてしまうこともありますので、雨戸を閉めて物音が聞こえないようにすることも大切です。

空腹が原因の場合は、自動給餌器を利用して早い時間に食事をとることで解決できる可能性もあります。

また、生活に支障をきたしたり、近隣の住民から苦情がくるほど鳴き声が激しい場合は副作用の少ない薬を使用して、睡眠のパターンをコントロールする方法もありますので、これはかかりつけの動物病院でご相談されるとよいでしょう。しかし、いったん、でき上がってしまった日課のサイクルを変えさせるのは、並大抵のことではありませんので、あせらず根気よく取り組んでください。
 

鳴くことでごほうびを得ている場合は?

鳴く理由として、次に考えられるのが、その行動が「学習」によって獲得され、何らかの「ごほうび」を得ることで維持されてしまっている場合です。例えば、猫が朝早くにうるさく鳴いたとき、静かにさせるためにご飯をあげたとします。次に鳴いたときにも、同じようにご飯をあげたとします。すると、猫は、この繰り返しによって、「鳴けばご飯がもらえる」と学習してしまうわけです。

飼い主の関心を引くことがごほうびになっていることもあれば、鳴くことで外に出してもらうことがごほうびになっていることもあります。
 
かまってもらうことがごほうびになっている場合、飼い主さんも我慢できるうちは、かまわないようにしていても、イライラするほど頻繁になると、どうしてもかまってしまい、結局、「鳴く」という行動が、習慣として保たれてしまうことになるわけです。

なかなか難しい状況もあると思いますが、この場合は無視する(鳴く行動に対して「ごほうび」を与えない)ことが有効です。
 

ストレスや発情期が原因の場合も

その他にも、ストレスや不安、恐怖から、自分を落ち着かせるために、繰り返し「鳴く」ことがあります。最近、新しい家族や動物が増えたり、家具を購入したりといった環境の変化はなかったでしょうか。猫の日頃の行動をよく観察して、原因を探してみてください。
 
また、発情期で鳴くということも十分に考えられますので、交配などの予定がないのであれば、早めに不妊手術をされることをおすすめします。 
 
(回答:Tokyo Cat Specialists 院長 山本宗伸先生)

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