「ニャンとも清潔トイレ」に関する事業は、2024年6月より花王株式会社からエステー株式会社に事業譲渡されました。
11歳のオス猫です。8年前に去勢をしています。
愛猫を3日間ほど動物病院に預けたら、それ以降スプレー行為をするようになってしまい、1か月ほど続いています。また、食事の量が減り、体重も激減しており、心配です。(通常12kg、現在8kg)
これまで毎年、年に1度1週間ほど動物病院に預けていました。その際は、帰宅後にスプレー行為をすることもありましたが、去勢をしていることもあって、長期間スプレー行為が続くことはありませんでした。
どのように対策をすればいいのでしょうか。
通常のおしっこに比べ、スプレーなのでにおいがかなり強く、その対処にも困っています。
(トム&ジェリーさん)
飼い主の不在がストレスとなって、スプレー行為が起こることは確かにあります。しかし、トム&ジェリーさんの場合は、今までも年に1回くらいは預けていらっしゃったとのことですので、飼い主の不在がストレスとなって、スプレー行為が起きたとは考えにくいのではないでしょうか。
それよりも何よりも、食欲がなく、1カ月の間に体重が4kgも減っていることを考えると、愛猫の異常な排尿行動は、スプレーというより、何らかの病気が原因である可能性が非常に高いと思われます。そもそも、猫の体重は、成猫でも4~5kgが限度で、体重が12kgあったこと自体も、かなりの肥満で問題ではありますが、それが激減したということは、猫のからだにとっては異常なこと。尿がにおうということですので、尿路感染症の疑いもあります。一刻も早く、動物病院へ行って、検査をお受けください。
トム&ジェリーさんの場合は、スプレー行為ではない可能性もありますが、スプレーについては、ご質問が多いので、ここで少しご説明をしておきます。スプレーと通常の排泄を区別するには、その姿勢や場所をよく観察することが大切です。スプレーの場合は、比較的少ない量の尿を、尾を立てた姿勢で垂直面に噴射します。起こりやすい場所としては、家や部屋の入り口、ふだん人や他の猫が通る家の中の通路や新しいもの、家具などが対象となりやすいようです。ただし座ってスプレーをすることもあるので、姿勢や場所だけでスプレーか否かを完全に判別することは難しい場合もあります。
去勢していないオス猫の多くは、家の中でスプレーし、強い独特のにおいを残します。去勢すれば、たいてい、この行動はなくなります。スプレーは複数の猫を飼っている家庭の方が多く、とくにメス猫と一緒に飼われているオス猫に多いようです。猫が完全に成熟してから去勢をした場合は、スプレーがあまり抑制されないこともあります。
スプレーは、縄ばりが侵されそうな場合だけでなく、猫が不安になると起こる場合もあります。例えば、人や猫を含む、新しい動物が家庭に入ってきたときや、飼い主の旅行などによる不在、環境の変化、また、猫の注意をひこうとする行動に飼い主が応じなかったりしたときにも起こります。
多頭飼育の場合、トイレの掃除が不十分なときにも、トイレ以外での排尿の原因になります。また、トイレの素材が変わったり、置き場所が食事の場所や寝床に近かったりして、トイレが気に入らない場合もあります。このような場合は、スプレーではなく、不適切な排泄だと考えられます。
これらから考えて、スプレー行為だと判断される場合には、いつ、どこで、どんなときにしているのかを観察して、まずはその原因を取り除いてあげてください。
現在、スプレー行為をしている場合、すでに尿をかけられたところは、水やアルコールで拭いたり、脱臭スプレーを吹きつけたりして、においが残らないようにしてください。いつも決まって汚される場所がある場合は、しわにしたアルミホイルを敷く、粘着テープを貼るなどして、そこで排泄しにくくします。いつもする場所に、その猫の食器やベッドを置くという方法もあります。
人が頻繁に利用する通路や、寝床や食事場所に近いところに、トイレが置いてあると、猫はそのトイレを嫌がるようになってしまいます。また、トイレに不備はなくても、特別お気に入りの排泄場所があるということも考えられます。その場合、そこには入れないようにして、他の場所に行くように仕向けます。愛猫のトイレ以外での排泄にお悩みの方は、ぜひお試しください。
(回答:Tokyo Cat Specialists 院長 山本宗伸先生)
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