猫と暮らすお役立ち情報

獣医師が回答!猫のよくあるご相談/回答:山本宗伸先生(猫専門獣医師)Tokyo Cat Specialists 院長

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Q

野良猫だった子猫を慣れさせるには?

野良猫だった子猫を譲り受けましたが、もらってきたその日の内にケージから逃げ出し、住んでいる私達家族も知らなかった床下への入口から、床下に逃げ込んでしまいました。それから10日ほど経ちます。
 
一度は捕まえてダンボールで作った小屋に入れたのですが、脱出してしまい、また床下にもぐってしまいました。昼間は全然出てきませんが、夜は人間が寝静まる頃になるとエサを食べに出てきて、家中を探険したり、ソファの上で寝たりしているようです。それでも人間の気配がすると、すぐに床下にかくれてしまいます。
 
床下へは人間が入れるどころか、腕さえ入れられません。ただひとつ安心なのは、床下へ出入りできるのは、ここ1カ所だけなので、家の外には出られないということです。猫が出てきたら塞いでしまおうとしていますが、用心深くて出てきた現場をおさえられません。これでは野良猫に家でエサをあげているのと同じです。無理やり捕まえた時の恐怖が残っているのでしょうか。飼い猫として仲良くなるにはどうしたらよいですか。
(にゃんぱらさん)

A 獣医師からの回答


年齢や経歴を見極めることが重要

野良猫を室内飼いにするには、基本的な知識が必要です。猫の社会化期は9週齢までとされているので、9週齢までに人間のハンドリング(撫でたり、抱っこしたり、体に触れることを通じて、人に慣らすこと)を受けていることが大切です。猫は父親の性質を強く受けるとされているので、もし父親の性質を知ることが出来れば、ある程度の性格がわかり、「こわがり」「人なつっこい」など想像できます。

個体によっても異なりますが、猫は少なくとも2~3週くらいから乳歯が生え、3カ月くらいから歯の抜け替わりが始まると考えられているので、口の中をよく観察し、週齢を推定するとよいでしょう。
 
乳飲み子を保護したのと異なり、野良猫の親に育てられていたとすると、これまで人との接触はないと考えられるので、現在の年齢や、引き取られるまでの経歴がたいへん重要になります。
 
現在は家の中で、野良猫にエサをあげているのと同じ状態とのことですが、これは無理やり捕まえた恐怖ではなく、飼い猫としての社会化が、なされていないということです。 猫からすると、ずっと1匹で暮らしていたのに、突然知らない人間がいる室内に移動して、少しでも安心できる場所を探している状態です。
 
ですから、こういう猫にとって、スキンシップを強く求めるのは、正しい飼い方とはなりません。この猫にとって、ちょっと迷惑な考え方となるわけです。
 

時間をかけて、少しずつ関わりを

ある程度、猫と距離をとった生活がもっとも勧められます。基本はある程度限られた空間、すなわち大きめのケージに隠れられる場所をたくさん作り、必要であれば外の土も入れたトイレを作ります。人間の生活を見せることも大切です。近くに人間が動いていても、自分に危害が加わらない、怖いことも起きないことを示します。エサをあげる時に少しずつ関わるようにして、じっくりと時間をかけて手から食べてくれるようになったとき、初めてコミュニケーションをとることが始められます。
 
たいへん時間がかかります。また、ストレスから来る病気を見つけやすいよう監視が出来る環境にして、尿の色や排便の状態も確認してあげてください。
 
(回答:Tokyo Cat Specialists 院長 山本宗伸先生)

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