「ニャンとも清潔トイレ」に関する事業は、2024年6月より花王株式会社からエステー株式会社に事業譲渡されました。
ペルシャ猫を多頭飼育しています。その中の2匹(11歳オスと10歳メス)に、数カ月間、下痢が続いています。血液検査をおこなったところ、猫コロナウイルスの抗体価が異常に高く、腹膜炎の疑いがあるが、断定はできないとのこと。症状は下痢のみで、元気や食欲はあります。他の猫たちも元気です。
食事は、下痢を抑えるということで、w/d、r/dを与えています。猫コロナウイルス腸炎の可能性はありますか。また、インターフェロンの点鼻薬をあげているのですが、効果的でしょうか。生後2週間の子猫がいるので、隔離しています。1カ月間隔離して離乳すれば、猫コロナウイルスフリーになると聞いたのですが、本当でしょうか。
(カンディンスキーさん)
慢性の下痢、難治性の下痢は、原因を解明するのに、たいへん労力を必要とする病気のひとつです。しかし、ご相談者の場合は、同居の2匹に、数カ月間もずっと続いているようですので、問題は深刻です。
猫コロナウイルスの抗体価が高いことは、猫コロナウイルスに接触した過去があるという意味でしかありません。そして、猫コロナウイルスが下痢を起こすことは非常に稀です。また猫コロナウイルスが原因となる伝染性腹膜炎の症状である、腹水やぶどう膜炎などがないようですから、伝染性腹膜炎を発症しているとは考えにくいでしょう。
猫コロナウイルスと伝染性腹膜炎については、いまでも発症のメカニズムは完全に解明されているわけではありません。最新の説では、「猫コロナウイルスが蔓延しており、このウイルスが何らかの原因で猫伝染性腹膜炎ウイルスに変化すると発症する」と考えられています。
猫伝染性腹膜炎は、病名の通り、腹膜炎を起こすものが一番多いながらも、胸膜炎で胸水がたまったり、食欲不振や下痢が続いたりすることもあります。いずれにせよ、発症すれば、徐々に病気は進行する傾向にあり、死亡率は非常に高いとされています。近年では伝染性腹膜炎に対抗する薬が開発され、一定の治療効果を上げています。ただし長期的な予後や再発率などが分かるには、もう少し時間がかかりそうです。
しかしながら、先ほども述べたように、猫コロナウイルスの抗体価が高いからといって、必ずしも伝染性腹膜炎になるとはいえません。また、猫コロナウイルスの抗体価が高い状態がずっと続いているのは、もちろんよいことではありませんが、健康状態の回復に伴って、抗体価が下がっていくこともあります。ご相談の内容だけでは、伝染性腹膜炎かどうか、判断することができません。
ただ、ご相談の場合は、元気も食欲もあるとのことですので、他に原因があるのかもしれません。慢性の下痢の原因を突きとめるためには、繰り返し、糞便検査を受けることが必要です。それでも異常がなければ、総合的な血液検査、腹部レントゲン検査、バリウム造影や超音波検査を受けた後、必要に応じて、内視鏡や腸の全層生検を受ける必要があるでしょう。
また、排便の状況から、下痢の原因を小腸性のものと大腸性のものに、大きくわけることができます。日頃から、以下の項目をチェックしておいて、獣医師の診察の際に伝えるようにしてみてください。原因究明の手がかりとなるかもしれませんので。なお、現在、食事は、w/d、r/dを与えていらっしゃるとのことですが、これらは主に大腸性の下痢に対応するためのもの。原因によっては効果がない場合もありますので、まずは下痢の原因をつきとめるように努めてください。
小腸性の下痢 と 大腸性の下痢 の特長
(回答:Tokyo Cat Specialists 院長 山本宗伸先生)
ご存知でしょうか?猫は痛みや不調を、仕草や行動で表しにくい動物です。時には、「おしっこの変化」に表れているのに、飼い主さんがそれに気づくことができていないことも…
おしっこの変化に気づけるように、毎日のトイレのお世話時に「おしっこチェック」を習慣にしてみませんか?実はカンタンにできちゃうんです。