「ニャンとも清潔トイレ」に関する事業は、2024年6月より花王株式会社からエステー株式会社に事業譲渡されました。
4歳と1歳のオス猫です。2匹が家中におしっこをし、あちこちからにおいがして困っています。以前はそれほどでもなかったのですが・・・。
2匹とも去勢はしていません。できれば去勢せずにしつけ直したいと思っています。家の中で飼っており、外へはリードをつけて庭を散歩させる程度です。最近、壁もよくひっかくようになりました。壁は直せるので我慢していますが、においは仕事場までついてくるので困っています。
(Thomasさん)
オス猫が家中におしっこをする。これは、尿のにおいを使ったマーキング(スプレー行為)で、去勢をしていない猫を多頭飼育していれば、ごく当たり前に起こる現象です。
スプレー行為の場合は、比較的少ない量の尿を、尾を立てた姿勢で垂直面に噴射します。これは、においをかぐのに都合のよい高さに、通常の排泄より広く噴射するためです。
スプレーしやすい場所としては、家や部屋の入り口、人や他の猫の通り道、新しいものや家具など。とくにオス猫は、自分の縄ばりの通り道、交差点、境界部分に念入りにマーキングします。Thomasさんは、まず、猫の排尿姿勢や場所を観察して、通常の排泄か、スプレー行為かを見極めてください。
スプレー行為には、その地域の猫の個体識別や動きを示すだけでなく、繁殖期にメスをおびき寄せるという性的な役割があります。また、新しい環境に置かれたときや、自分の縄ばりによそ者が侵入してくる不安があるとき、縄ばりを守り、心を落ち着かせるために、スプレー行為(においづけ)をおこなうこともあります。
今回のご相談では、4歳と1歳の去勢していない猫が同居をしていて、以前はそれほどでもなかったのに、家中におしっこをするようになったとのこと。これは、後に入った猫が性成熟したため、双方がテリトリーを主張して、スプレー行為を行っていると考えるのが妥当でしょう。壁をよくひっかくようになったのも、ひっかき傷をつくり、目に見える形で、テリトリーを主張するためだと思われます。
外界からの刺激がなく、テリトリーを主張する必要性も、性的刺激もない場合は、去勢手術を行っていなくても、スプレー行為や、テリトリーを主張するための爪とぎは、見られないこともあります。しかしほとんどの場合は、 スプレー行為を「しつけ」だけでやめさせることは不可能ですし、猫にとっては正常な行動なので、やめさせるのは苦痛に感じます。 縄ばりを侵されるかもしれないという不安と、性的な理由から行っているスプレー行為を、人間が頭で考える「しつけ」という観念では修正することはできないのです。
Thomasさんは去勢をしたくないとのことですが、この行動がスプレー行動の場合は、去勢以外の方法で治すことは困難だと感じます。 去勢をすることで、性的な縄ばり争いをする必要がなくなるので、同居のオス猫を受け入れやすくなります。去勢手術後は、血液中のホルモン濃度の関係から、スプレー行為がなくなるまで数週間 ほどかかることもあります。
去勢手術で、尿スプレーの問題の約90%は解決するといわれていますが、残りの10%は解決できないことがあります。また、単頭飼育より、多頭飼育の方が解決しにくいといわれています。この場合は、猫の通り道の交差点や目立つような位置に、猫が安心できるフェロモン製剤を振りかけたり、それぞれが隠れて安心できる隠れ家をいくつか用意して、テリトリーがかち合わないようにしたりしてみましょう。
それから、室内にしみついた尿のにおいを徹底的に取り除くことも大切です。性成熟を迎えたオス猫の尿のにおいは非常に強く、簡単には消えないと思いますが、少しでもにおいが残っていると、再びそこでスプレーをしてしまいます。それこそ家を改装するくらいの覚悟で、徹底的にお掃除&消臭を行ってください。
(回答:Tokyo Cat Specialists 院長 山本宗伸先生)
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