「ニャンとも清潔トイレ」に関する事業は、2024年6月より花王株式会社からエステー株式会社に事業譲渡されました。
大切なネコちゃんには、ずっと健康で幸せに過ごしてもらいたいもの。そのためには、ちょっとした変化にも気づいてあげられることが飼い主の役目。子猫の頃から習慣にしたい日頃のケアを、キャットブリーダーさんに聞きました!
【監修・撮影協力】稲富 理香 さん
アビシニアン・キャットブリーダー
CFA Something Hearts Cat Fanciers セクレタリー
1992年より、CFA(世界最大の愛猫協会 THE CAT FANCIERS’ ASSOCIATION,INC.の略)に参加。トップリーダーとして、美しく、健康的な猫の育成に努めています。
ネコは元来きれい好きな動物。毛づくろいなどのお手入れに、起きている時間の半分近くを費やすとか。でも、ネコまかせはNG!ネコの舌が届かない部分も多いうえ、長毛種など人の手で改良されたネコたちは、飼い主が手伝ってあげなければ清潔を保てません。
お手入れはネコの見た目をきれいにするためだけではありません。全身に直接触れることで、被毛の状態、傷、しこりなど、体の異常にいち早く気付くことができます。子猫の頃から触れられることに慣らしておくと、動物病院でのストレス軽減にもつながります。
飼い主が言葉をかけながら愛猫の体に触れることは、信頼関係を深める最良のコミュニケーション手段。保護した子猫などの場合、人に対して警戒心を抱いていることがありますが、触れられることに慣らして、人と生活することは、楽しく幸せな時間であることを教えてあげましょう。
無理なく続ける毎日のケアで、
子猫ともっと仲良しに♪
オシッコやウンチは健康のバロメーター。トイレケアの大きなポイントは2つ。「清潔なトイレを保つこと」と「日々の排泄物チェック」!子猫の頃からの適切な管理でずっと健やかな愛猫に♪
ネコはとてもキレイ好きな動物です。トイレがニオっていたり、汚れていると、トイレ以外の場所で粗相してしまうことも。
さらには、ガマンをして病気になってしまう可能性があります。子猫の健康のためにも、トイレ環境はおろそかにできません。
シートでオシッコの色を確認
2層構造のスノコ式トイレの場合、白色のシートをセットすれば、オシッコの色が確認しやすく、簡単にチェックできます。
トレー下部に何も敷かず、オシッコをためる
2層構造のすのこ式トイレの場合、シートを外しておけばオシッコをためて状態を確認することができます。また、容器などにうつせば、色や量が把握しやすく、病院へ持っていくにも便利です。
・トイレが汚れている(ニオイが残っている)
・肉球に砂がはさまる
・落ち着かない場所にトイレがある
・トイレの大きさや形が好みでない
・多頭飼育で、トイレを他の猫と共有している など
「ニオわない・汚れていない」をいつもキープ
2層構造のすのこ式トイレの場合、1週間に1回がお手入れの目安で簡単に清潔をキープ。
オシッコのたびに掃除する必要なし。
大きめの粒の砂なら、肉球にはさまらない。
肉球に砂がついたり、尿で濡れたりするのが嫌いなネコには、サラサラで大きめの粒のものを。肉球にはさまらないので、お部屋への飛び散りも防げて衛生面でも◎。
排泄物は、体調を知る重要な手がかり。ネコは、子猫の時期には下痢などの消化器系の病気、また、1歳を過ぎると泌尿器系の病気になりやすい動物です。子猫の頃から排泄時の様子を観察したり、色や量などを確認する習慣をつけましょう。
こんなときは注意信号!
※あてはまる項目や気になることがあれば、動物病院へ
オシッコチェック
□ トイレに頻繁に行くのにオシッコが出ない
□ トイレをしている時間が長い
□ トイレ以外の場所でオシッコする
□ オシッコの色がいつもよりうすい
□ オシッコが赤っぽい(血尿)
□ おなかや陰部をしきりに舐める
ウンチチェック
□ ウンチの回数が少なく、便秘がち
□ 下痢をしている
□ 色がいつもと違う
□ ウンチの中に虫がいる
□ ウンチの中に未消化物や異物がある
ネコは自分でツメをとぎますが、鋭いツメは、引っかかれたり家具を傷つけたりと、飼い主泣かせ。また、カーペットなどに引っかかって、はげたり抜けることもあり、ネコにとっても危険です。ツメ切りは、生後1か月の頃からスタートできるので、子猫を譲り受けたらすぐに慣らしましょう。
人用ツメ切り
普段使いなれているため、力加減がわかりやすく扱いやすい。
※ただし、縦に切るとツメが割れることがあるので、ツメに対して横に当てて。
ギロチン型ツメ切り
厚いツメでも、少しの力で楽に切れるが、力加減がしにくい。(上級者向け)
ハサミ型ツメ切り
層になった爪も一度に切れます。切れ味が悪くなったら取り替えて。
やすり
切った断面を滑らかにするもの。(上級者向け)
たくさん褒めて、「ツメ切り=楽しいこと」に。
膝の上に抱き、後ろから抱きかかえて切ると安心します。あまり力を入れすぎず、「ツメ切り=楽しいこと」となるように、子猫を褒めながらリラックスした雰囲気で。
深ヅメNG 。先のとがった部分だけ。
ツメの中には、血管と神経が通っています。誤って切ると、出血や痛みを伴うので、ツメ切り嫌いになることも。深ヅメにならないよう、切るのは尖っている先端部分だけ。
肉球の間の毛は伸びてきたら切って
フローリングなどで滑る原因となり、ネコちゃんのケガにつながる可能性も。
ハサミや犬用のバリカン(ヘッドの小さいもの)を使って、切ってあげるのが理想的です。
ネコの口は、口内炎や歯周病の他、気づかないうちに何かとトラブルがおきやすいところ。特に歯周病は加齢とともに増える傾向に。予防には歯みがき習慣が理想ですが、いきなり無理強いはNG!まずは、子猫の頃から日常的に口の赤をチェックできるようになることから始めましょう。
デンタルガム
噛むだけで歯石予防。歯みがきが苦手なコに。
歯みがきペースト
ネコの好きな風味で歯みがきに慣らしやすい。
ガーゼ
細かな繊維で汚れを拭き取る。初心者に◎。
指ブラシ
指にはめて使うから、力加減がわかりやすい。
歯ブラシ
丁寧にブラッシングするのに最適。
お口「アーン」を毎日のコミュニケーションにする。
最初は、子猫がリラックスした状態で口のまわりを触ることに慣らします。嫌がらなければ、「アーン」と言いながら口を開き、たくさん褒めて!口の中の異常にも気付きやすくなります。
慣れてきたら、指で歯茎をマッサージ。
慣れてきたら、指で軽く歯肉をマッサージ。永久歯が生えてきたら、週に1度はガーゼや歯ブラシを使った歯みがきをオススメ。少しでも嫌な素振りをしたら、すぐにやめましょう。
※ネコの好きな風味のついたペット用の歯みがきペーストを使うと抵抗が少なく、慣れやすいようです。
ブラッシングには、毛並みを整える以外に、「抜け毛や汚れを取り除く」「皮膚の新陳代謝を高める」「ケガなどの異常に気づきやすい」など多くのメリットが。健康管理とコミュニケーションのひとときとして、ブラッシングを習慣づけましょう♪
短毛種の子猫の場合
長毛種の子猫の場合
換毛期や成猫の場合
コーム 短毛猫・長毛猫
抜け毛の除去に。短毛種には細目、長毛種には粗目。毛の長さに応じたものを。
獣毛ブラシ 短毛猫
ツヤ出し効果あり。毛足の柔らかいものを。
ラバーブラシ 短毛猫
たくさん毛が取れるが、抜け毛以外を除去してしまう場合も。
スリッカーブラシ 長毛猫
毛玉をほぐしたり、抜け毛除去に最適。使い方に注意が必要。
ピンブラシ 長毛猫
マッサージの効果あり。ピン先の丸いものを。
アンダーコート除去ブラシ 短毛猫・長毛猫
アンダーコートを減らすために利用。
人の手はやさしいものだとわからせて
やさしく声をかけながら全身を触り、触られることが心地良いことだと教えましょう。毎日少しずつ続けることで、リラックスしてくれるようになります。
力加減の目安はネコの気持ちよさそうな顔
子猫が目を細めて気持ち良さそうにしていたら、ベストな力加減。力が強すぎたり、無理に毛玉をほぐそうとして痛い思いをさせると、ブラッシング嫌いになってしまうので要注意。
短毛種
抜け毛の除去&皮膚の健康チェックを。
短毛種の場合、子猫自身のお手入れで基本的には充分と言われています。しかし、抜け毛の飲み込み過ぎで起こる「毛球症」を防ぐためにも、ブラッシングで抜け毛を取り除いてあげることが大切。同時に皮膚の健康状態をチェックすることも重要なポイント。
長毛種
毛玉対策&皮膚のマッサージを。
長毛種の場合、ネコ自身のお手入れだけでは美しさや清潔さを保つことは困難。毛が細く、もつれて毛玉ができやすいため、美しい毛並みを保つためには毎日少しの時間でも、コームで毛をすきましょう。 さらに皮膚のマッサージ効果もあるピンブラシを用いて、新陳代謝をあげることもポイント。
ネコは体臭も少なく、自分で毛づくろいをするため、基本的にシャンプーは必要ないと言われています。しかしシャンプーには、ネコ自身では落とせない汚れや余分な皮脂を落とし、皮膚を清潔に保つ効果があります。でも、ネコは体が濡れることを嫌う動物なので、無理強いは禁物。濡れタオルで拭くだけでもOK。
猫用シャンプー
人間用ではなく、必ず猫用を用意。
ハンドタオル/ガーゼ
顔を洗ったり、すすいだりするときに活用。
吸水タオル
タオルドライで十分に水気を取っておくとドライヤー時間の短縮に、タオルは何枚でも使って。
ペーパータオル
押さえるだけで水分をよく吸収。
ドライヤー
音が静かで、風量の調整できるものを。
カラダを濡らす時には、驚かせないことが大切
水流の音や水圧などで驚かせないように、お湯をためた桶に子猫を入れ、全身を濡らすと良いでしょう。お湯の温度は約38℃が目安。皮膚までしっかりと濡らして。
顔や顔まわりはハンドタオルを上手に活用
お湯で浸したハンドタオルやガーゼを絞りながら慎重に濡らします。口や目のまわりも汚れがつきやすいので、しっかりと。耳や目・鼻にお湯が入らないように注意が必要。