「ニャンとも清潔トイレ」に関する事業は、2024年6月より花王株式会社からエステー株式会社に事業譲渡されました。
引っ越しは、荷造りや手続きなど、ただでさえやることがたくさんあって忙しく、愛猫のことまでなかなか気配りができなくなりがちです。しかし、新しい家に引っ越すことは、なわばり意識の強い猫にとっては一大事。環境の変化は、一時的に猫にとっては大きなストレスとなります。引っ越し先の周辺環境、室内のレイアウト、近くによい動物病院があるかなど、事前に情報を収集し、引っ越し先での愛猫との暮らしもイメージしておきましょう。
また、引っ越し当日の猫の移動手段についても、しっかり考えておかなければなりません。マイカーで飼い主と一緒に移動するのが、愛猫にとっては一番負担の少ない方法ですが、それが無理な場合には、公共機関を利用したり、専門のペット輸送サービスを利用するのも一案です。
引っ越し当日は、荷物の山でごった返し、引っ越し業者が頻繁に出入りして、猫も落ち着きません。荷物を運び出すためにドアが開けっ放しになる時間も多く、猫が脱走してしまうこともあるので、十分に注意が必要です。
荷物を運んでいるときは、猫はケージの中に入れておくか、一時的にペットホテルや知り合いの家などに預けるとよいでしょう。
見慣れぬ部屋、移動による緊張感や興奮で、猫は心身共に疲れています。到着後はまず、愛猫が落ち着ける場所を確保してください。自分のニオイのついている愛用のマットなどを部屋の隅に置けば、猫も安心します。引っ越しを機にいろいろなものを新調したくなるものですが、新しい環境に落ち着くまでは、猫の身の回り品は使い慣れたものを用意してください。
特に気をつけたいのが猫のトイレ。新しい砂ではなく、それまで使っていた自分のニオイのついた砂を混ぜると、かなり落ち着きます。
初めのうちは、猫は物陰に隠れてしまったり、ケージの中からなかなか出てこなかったりすることもあるかもしれません。しかし、無理に猫を引っ張り出したりしないで、猫のペースに任せます。自分から姿を現し、部屋の中を探検し始めたら、慣れてきたサインです。
愛猫が不安そうにしていたら、やさしく撫でたり、声をかけたりして落ち着かせます。普段よりも神経質になっているので、大きな音を立てたり大声を出したりしないように、気をつけましょう。また、慣れるまでは食欲不振や下痢など体調もくずしがちになります。いつも以上に、愛猫の表情や行動をしっかりチェックしてください。
なお、環境に慣れるまでは、くれぐれも脱走に注意してください。万が一脱走してしまった場合、飼い主も愛猫もまだ慣れていない土地で、迷子になった猫を探し出すのは至難の業です。新しい住所の迷子札を必ずつけておきましょう。
監修:山本宗伸先生(猫専門獣医師)